GARDEN CITY LIFE

緑丸と申します。日々、アンテナに引っかかったことを綴っていこうと思います。

マイナスからの出発。だから人生は面白い〜レスキューP奮闘記

昨日ちょうど最新話がUPされていたので、
いい機会と考え、
土日を利用して第1話から見直しています。

レスキューP奮闘記 第1話

東日本大震災を題材に含むため、
視聴者を選ぶかもしれませんが、
自分は嫌悪感を抱くことなく、
むしろ楽しみに視聴しています。


ハイパーレスキューとして活動するも、
止む無く辞職せざるを得なかった主人公。
職探し(という名の逃避)を続ける中、
とある出来事をきっかけに、再始動を目指します。
ひょんなことから受けることになった
合同オーディション。
そこから、運命は回り始める…。


…うわあ、できるだけストーリーのキモを省いて
あらすじを書いたつもりですが、
これって主人公が駄目人間にしか見えねぇ…。

ええと。
合同オーディションで高木社長と出会い、
プロデューサーとしての道を歩むことになった主人公ですが、
この時点で765プロの所属アイドルはゼロ。

そこで社長は、
主人公がプロデューサーとして一人前になるよう徹底指導し、
それを経てアイドル候補を探す、という方針を打ち出します。

まず、こうした成長のプロセスの丁寧な描き方がお見事。
ゲームや、他のノベマスでは省略されがちな
プロデューサーの資質や、
事務所の規模を着実に拡大していこうとする
きめ細かなストーリー展開。

こうしたことの積み重ねが、後々、
ボディブローのように効いてくるのです。


そして、登場人物である765プロの面々は、
いずれも、マイナスからのスタート。

前職を辞して再出発を図る主人公。
過去の栄光と地位を捨て、新天地での活動を望んだ高木社長
アイドルに挫折し、新たな道を選んだ小鳥さん。

こうしたメンバーで構成される765プロが目を付けた
「第1号アイドル」となる真に対して、
プロデューサーはこう告げるのです。


「化ける」と。

今置かれている状況がどん底なら、
そこから上を向いて、変化させていけばいい。
それはたぶん、真だけではなく、他の娘にも、
そしてプロデューサー自身にも言えることなんだろう。

そういった、この作品の根底を流れるテーマが、
すでにこの時点(第4話)で垣間見えます。

真に限らず、他のアイドルも、
様々なプロセスを経て、アイドルへの道を辿っていきます。



そして。
予期せず迎えてしまう、あの瞬間。
作品で言うと、第23話。



おそらく、この作品の制作のきっかけであったはずの
あの瞬間まで、実に22話分のエピソードが
描かれている、という事実に、
改めて遼介Pの思いを感じずにはいられません。

そして、残酷かもしれませんが、
22話までの積み重ねがあるからこそ、
第23話は初めて意味を成している、と言えます。

話の展開は勿論ですが、
アイドルにとどまらず周辺の人物まで
深く描いた、その設定。
丁寧に構築されたストーリーは
既に一つの世界観を呈しています。

そしてこの世界における登場人物は、
来るべき「予期せぬ現実」が全てをぶち壊すことを、
まるで知らない。

これは、われわれが実際に体験した事実と、
まったく一緒です。

日常を覆す予期せぬ事態。
それをストーリーとして表現するためには、
22話もの「遠回り」が
きっと、必然だったのです。



ストーリーはここから、本格的に発展します。
連載開始当初よりも、精神的にはさらにマイナスの状況。
そして、第23話を機に登場するキャラクターもいます。

その展開の巧みさは、
重厚な連続ドラマを視聴しているかのように
錯覚します。

でも、実はこの作品は、そんなに重くないのです。
(トラウマを持つ方も多いでしょうが、
小難しくは無い、という意味で)

これは今一気見をしていて気づいたんのですが、
基本、一話の中である程度起承転結はできてますので、
一話一話はとても見やすいのですね。


ということで。現在第55話という長さに、
ちょっと腰が引ける人も多いかもしれませんが、
展開は面白いので、未見の方もぜひ見てほしいです。

何より、「今年」を語る上では
絶対見逃してはいけない作品だと思うのですよ。