GARDEN CITY LIFE

緑丸と申します。日々、アンテナに引っかかったことを綴っていこうと思います。

劇場版について、もうちょっと。

昨日は駆け足だったので、もうちょっと、思ったことを。

・・・というか、実は事前に見ていた「ネタバレ記事」というのは、所謂2chまとめサイト系のみで、個人のブログとかはほとんど見ていなかったのですが、一応自分的解禁ということで巡った結果、内科部長さんとか胡桃坂さんとか、なんでここまで掘り下げ出来るの!?と、ただただ驚き。
特に内科部長さんの志保と可奈に関する分析は、自分がぼんやり思っていたことを的確に述べられていて、もうこれ以上は必要ない、と思うくらいです。
年の功って、こういうことを言うんですね。

・・・うん、失礼な発言があったことをお詫び申し上げます。
(以下、ネタバレ格納です。)

2/3:補足という名の言い訳を追記しました。あまりにも原作無視の表現があったので・・・。
「にひひっ お仕置き決定ね」ということで、ピンク色が該当箇所になります。


気になったことをいくつか。

■春香について

アニマス本編での春香は、千早の危機にも全力でぶつかっていったし、自らの危機も乗り越えてきました。
なので、経験値的な観点から、なぜ可奈の事態について、あそこまで悩んでいたのか、というのが、疑問だったのですが、時間を置いて考えてみると、これは、すごく単純なことでした。

まず、春香は、「リーダー」という肩書きに囚われすぎていたのだなあ、ということがわかります。
吉澤記者[補足:善澤記者、ですね。すいません、ケアレスミスです。でも、本当のお仕置きは、こんなもんじゃない・・・。]の質問に対する「プロデューサーの近くにいた」という春香の回答が持つ意味について、どうも未だに引っかかっているのですが、でも、アニマスを振り返ってみると、赤羽根Pは常に、課題を抱えたアイドルに対して、一方的な考えを述べるのではなく、まず一緒に考える、という描写があったように思います。2話の宣材撮影しかり、3話の雪歩との指切りしかり。美希にも真にもそうだった。
そういう赤羽根Pの姿勢を間近で見てきた春香だからこそ、リーダーとしてみんなと一緒に考えていける、と考えての指名だったのでしょうが、実際問題に直面したとき、春香は「リーダーという立場であればどうすればいいのか」を先に考えてしまった。
皆が春香に求めていたのは、春香が皆と同じ目線で率直な思いを口にしたり、一緒になって本気で考えたり、要は、「今まで通りでよかった」のです。だからこそ、伊織も美希も千早も、春香の回答を待っていたように思います。
本人の自覚を促すという意味でのリーダー指名だった筈なのが、肝心の本人はその「地位」をプレッシャーに感じてしまった・・・、という、実世間でもありがちな落とし穴に春香自身嵌った、ということだったのかな、という気がします。

一方で、話はアニマス本編に戻るのですが、千早の危機については、プロデューサーの後押しがあって初めて動けたのだということ。
自らの危機については、解決のヒントについて気付きはしたのだろうけど、実際に春香を救ったのは、街頭ビジョンに写る仲間達の姿だったということ。
そう、実はアニマス本編で、春香は、自分だけの力で何かを乗り越えたわけではなかったのです。

決してそれが悪い、ということではなく、仲間との絆を深め、アイドルとしてもステップアップして、着実に成長しているのですが、心の中は実は、アニマス第1回の頃から一番変わっていないのが、春香だったのかもしれません。
その意味で、今回のエピソードは、彼女自身の、大袈裟に言えば生きていくうえで必要なものを初めて自覚し、表明できた、という点で、春香の成長物語として価値あるものではなかったか、という気がするのです。

[補足]
これ、冷静に考えると、原作と間逆の表現ですよね。
ま、確かに勢い重視で裏も取らず書いたのでしょうがないのですが、これはあまりにもひどいと思うので、補足させていただきます。
一番言いたかったのは、「春香は既に過去の経験から確固たる答えを持っているはずなのに、なぜ可奈(&志保)に対して躊躇したのか」ということでして、アニマス本編の24話では、色々と逡巡して、自分の思いに気付いて、事務所まで走って。そして、街頭ビジョンからの呼びかけを見て、笑顔を取り戻しましたよね。
自分の思いとしては、あの瞬間、春香が自分で出した結論が、皆からのメッセージによって報われ、補強され、明確になったのだろうな、とそういった印象があり、だからこそ、「自分だけの力で〜」なんて表現になったのですが・・・あああ、ホント、すんませんでしたぁぁぁorz
でもって、春香は原点回帰したのだから、やっぱり、第1話から劇場版に至るまで、根幹は変わっていない(もはやブレない、という意味で)とも思うのですよ。

そう考えると、劇場版って、一人の人間の成長物語なのですよ、
単純なギャルゲーの映画化であれば、ここまでのことは、普通しません。
正に、これまでの歴史の積み重ねがあるからこその、この脚本だったのだなあ、と、改めて気付かされます。

■可奈&志保について

この2人については、冒頭に挙げたお二方の記事が全てを語っているのですが。

まず可奈について。
まとめサイトで評判の「ぬるぬる」描写ですが、これは、この場面が劇場版のキモになることを気付かせるために、あえてそういった印象深い表現にしたのかな、という気がします。

で、うまいなあ、と思ったのが、杏奈が可奈のメールを春香に伝える場面。
物語の時系列的には、ステージでミスを犯してから多分、1〜2週間は経っているのかな、と勝手に思っているのですが、それまで可奈は、ミリオン組の呼びかけにも無反応でしたよね。
なぜこのタイミングでメールしたのかな、と思ったのですが、おそらく、この日、初めて彼女は、ストレスでやけ食いした自分の姿を自覚したのでしょう。きっとそれまでは、単純に悶々としていただけではなかったのかな、と。
で。姿見に写る自分の姿に愕然として、取り返しのつかない状況になったことに気付いて、それまで音信不通にしていたのにもかかわらず、初めて返事を送ったのかな、と。
初めは単純に自信を喪失して、ヤケになっただけだったのが、ふと気付くと、「マジやばい」状態になっていた。・・・うん、よくありそうで、でも、実際にそうなってしまうと、確かに、もう、後悔以外の何物もないわけで。
このあたりの心情の揺れ動きが、ものすごく伝わってくるんです。
ストーリーとしては、正直割と単純なのですが、ここまで機微にこだわったのか、と考えると、怖いですよ、この脚本。

次は志保。

これはもう、「志保は実はダンスは得意ではない」この情報だけは先に知っておきたかった!
これだけで彼女の印象が、180度回転しましたから。
これが分かっていたら、それだけで印象は大きく変わるんですね。要は、自分の不得手な分野でイベントに参加することになって、プレッシャーもあって、他の人がどうであっても自分がだめであればそれで自分のアイドル(ここでは候補生)としての道は閉ざされてしまう、ということの自覚が、強すぎたんだなあ、ということが、分かってくるんです。
一言で言うと、「抱え込む子」だったんですね。これだけだと、確かに千早っぽいけど、千早と志保の違いは、志保には千早でいう歌のような「武器」が、この時点ではないこと。
だから、他の誰よりも、今目の前にあるダンスに打ち込まざるを得なかったわけです。そりゃ、「他人との協調よりも、まずは自分」という心境になるわなあ。
内科部長さんも仰っていましたが、この子は人一倍心配性な状況にあり、それ故、表向き強気に出ていたのですね。
「時間がないんです」発言も、単純なライブまでの時間ではなく、ライブを完全な形で迎えるために自分に残された「期間」と捉えると、しっくりきます。

でもねえ。
最初に自分も「知っておきたかった」なんて書いたけど、現実もそうだけど、そんなバックボーンなんて、知り合った最初の頃から分かるなんてこと、あり得ませんよね。その点だけ見ても、いちいちこの劇場版は、変にリアルなんです。
劇場版のファンタジーなところは、そんな志保の弱いところを知ってか知らずか、伊織や美希が気にかけていたところ。リアルにはそんなこと、まずありませんよ。
要は、この子も、必死だっただけ。それが分かっただけ、よかったのではないでしょうか。


■その他

印象に残ったことを追加で。

・全体的に「たかゆき」の印象が強かったです。後輩にアドバイスする雪歩に対する貴音の暖かな視線、というのが、随所にあったなあ。と。そして、そこに真が加わった3人の組み合わせが印象深いです。
・冒頭の「まみやよ」。自分はこのシーンで、完全に、以前ご紹介したこちらのSSを思い出しました。まさかこれが実現するとは・・・!!これに響が加わるというのは、なかなか面白いです。
・伊織については、ああそうだ、赤羽根Pの告白後の「寂しいわよ」の部分を、前回取り上げ忘れていましたね。あそこでの素直な感情の吐露があるからこそ、前回の記事の妄想が、より膨らむってものなわけですよ。


むむむ。まだ言い足りないような気がする。
また記事にするかどうかは分かりませんが、まだ上映中なので。気が向いたら、もう一回みたいなあ、という気が、積もりつつあります。
どうしよう。