GARDEN CITY LIFE

緑丸と申します。日々、アンテナに引っかかったことを綴っていこうと思います。

会話の途切れた、ふとした瞬間が暖かい。

【NovelsM@ster】 ある台風の日に 【短編】

いたちょこP

2011上半期ニコマス20選をはるいお妄想で締め括ったから、
というわけではありませんが、
この週末、気になった動画だったのでピックアップ。
タイトルの通り、ある台風の日の春香と伊織の出来事です。

一見して「おやっ?」と思ったのが、会話のインターフェイス
台詞を述べるキャラの名前は表示されず、
そこに表れるのは、イメージカラーのみ。
Pの作品はこれまで未見でしたので、新鮮でした。

もうひとつ、この動画では言葉の無いことを意味する「…」が
使用されていません。
従って、キャラが言葉を発しない場合、画面下のインターフェイス
黒いまま、イメージカラーだけが表示されます。

実はこれらが、ストーリーの展開と共に、
効果的な役割を果たしてくれているのです。


ある台風の日、事務所には
迎えの来れなくなった伊織と、
電車が止まってしまった春香が残されます。

普段、たまにそうしていたように
事務所に泊まるつもりだと言う春香に、
伊織が付き合うことになります。

そこで初めて、二人きりで交わされる会話。
会話の内容自体は他愛も無いものですが、
嵐のため閉鎖された空間で、
二人は知らず知らずのうちに心を通わせていきます。
時には会話の途切れるときもありますが、
それも別に不快ではなく、
外が不安な状況であるからこそ、
目の前に仲間が居るだけで安心する、
そんな暖かい空気に包まれるようになるのです。


そこで不意に起こる停電。
暗闇の中、不安に陥る伊織。
それを優しく慰める春香。

この二人の置かれた雰囲気を、
先に触れたインターフェイスが、
効果的に表現してくれます。


なるほど、こうした表現もあるのだなあ、と
素直に感心しました。


普段はドジで突っ込まれることが多くても、
やっぱり春香はお姉さんで、
年齢差を気にせずズバッと切り込む伊織も、
まだまだ庇護を必要としているのです。

普段と逆な二人の関係が思わぬ形で現れましたが、
それは決して、悪いことではないんだろうなあ。